どぶろく祭で有名な白川村。
その八幡神社の試楽祭では、
神前における神事が終わると、
神主や禰宜をはじめ、赤鬼青鬼を先導に、
神の分霊を乗せた神輿が郷中を巡幸する。
これに従うのが獅子神楽。
神楽台には大太鼓、次は笛や笙を吹く囃子方。
その後方には獅子連中が続き、
五色の吹き流しを風になびかせながら
裃姿の男たちと稚児たちが続く。
一年に一度の御神幸が、
合掌造りを背に、細い農道を練り歩く姿には
神と人とが交わる濃密な空気が漂っている。
昔は砂を敷いた神道沿いの民家は
真綿と麻苧(あさお)を献上する慣習があったり、
素封家(そほうか)では、
神職や神輿、獅子や神楽の若者たちに、
ぼた餅・酒肴にそえて、
ごぼう・人参・菊百合などのお煮付けを
どんぶりに入れて振る舞ったというが、
今は廃止された。
参考文献/にごり酒を造る神社◉加藤百一
五色旗を連ねた「御神幸」の行列が笛や太鼓の音を響かせながら、合掌集落の家並みや民家のあいだを練り歩きます。その様子はつつましく、のどかに、昔のままに。
五色旗と藁葺きの合掌の民家からのぞく大太鼓。
2017年に当社で修理をさせていただきました。
この美しい村を何世紀ものあいだ、そっとかばっていたのは、まわりをぐるっと囲んでいる山々でした。
獅子の口からのぞく赤い舌。そしてユタンを彩るうこん色のデザインが、神秘さを増す。
霊山白山を背景に太鼓を打ち鳴らす勇壮な姿。
火焔型に形取った重厚な欅の飾り。
藍色とうこん色。そして赤。
自然界から頂戴した深みがあります。
体を大きく後ろに反らせながら、太鼓を打ち鳴らす。「御神幸」の行列が来たことを知らせる大事な音色です。
荒くれる獅子と戦う童子。
男たちは紋付と袴を着て、五色旗を担ぎながら、1,000年も続くどぶろく祭を支えてきた。
独特の形状を魅せる藁葺きの山門。
本堂ももちろん藁葺き仕様です。
つつましくて、しずかで、時代に媚びない気構えが、この村を作っている。