地獄極楽といえば想像による世界だけに、地獄のおドロおドロした凄みを描くことができる作家は、意外と少ない。そんな時に仏師のかたわら絵も描く作家と出会うことができ、昭和から平成へと絵図はバトンタッチされたのです。室内とは異なり、野外のお堂は展示条件が厳しく、使用する紙質の選定から施工に大変な神経を使っていただきましたが、その甲斐あって素晴らしい出来あがりでした。
昔とちがって金紙は機械による点転写が可能で予算も半額ほどでできると伺い、お願いしました。背景の金色が蓮の水の青、そして花弁の桃や白色を際立ており、金紙上部に浮かぶ白雲が天上界の世界を表現しています。見る人に心の奥から揺さぶる浄土の世界を、品のある形で表現していただきました。
解体から再組み立てまで、かなりの時間を要しますが、見違えるようにきれいになり、次の代に安心して継承できます。天井の板と中扉に貼ってある紗は交換します。解体から再組み立てまで、かなりの時間を要しますが、見違えるようにきれいになり、次の代に安心して継承できます。天井の板と中扉に貼ってある紗は交換します。
鏡板は丈6尺の巾4尺という大きなケヤキ一枚板で、これだけのものとなると、材料だけでも受注価格の大半を占めてしまうと思うのですが、飛騨だけでなく、地方から探していただきました。額縁や文字は地元の彫刻家に依頼していただき、地元の職人さんたちの心意気でやり遂げていただいた大作でした。