時代の変化に合わせ絶え間なく変化する中で、
寺院仏具はいま、格式から創作へと
様変わりしつつあります。
従来の様式がおりなす静謐さや荘厳さにもまして、
仏教の根底に流れる精神やこころの有り様を
そのまま抽象化したようなモダンな寺院が
都会では少しづつ増えているのです。
こうした世界を「未来の祈り」としたら、
高野山を歩いて私が感じたのは「原点の祈り」。
ただ訪れるだけで何かが変わると言われている高野山は、
無数の寺塔が立ち並ぶ独特の景観をかもし出し、
都会の喧噪からは想像ができない
不思議な気に包まれています。
わたしは高野山の懐のふかさに触れながら、
対極にある「未来の祈り」を考えることで
向かう道が、その先に見えてくると思うのです。
道を進むということが「未知」との出逢いを求めることで
ある以上、行き先は自分たちが知らない場所なのですが、
そこはきっと深くてなつかしいところで
あってほしいと思います。